最新号 『らら・カフェ』 25号



凛として たおやかに川内村 遠藤村長の思い
『不安は言葉では拭えないものです。それは個人の判断ですから、良いか悪いかも言えません。村には戻れるようになったら戻ればいい。それまで自分たちは何をすれば良いかを考えている人は、今でもやることはあるんです。私たちはそのための判断材料をどれだけ示せるかということです。』
 こう話すのは、福島県川内村の遠藤雄幸村長。震災直後は八千人の避難者を隣の富岡町から引き受け、混乱のさなかに福島第一原発事故。川内村の『屋内退避指示』をテレビで知った村長は、「避難者も大勢いるのに、屋内退避なんてあり得ない」と、すぐさま防災無線で全村民に自主避難を促した。全ての人々を三日間で避難させなければ…その緊迫した状況はとうてい言葉では伝えきれない・・・・・
川内村「いわなの郷」再オープン
全滅寸前の「いわな」にかけた男の夢…
自分が守らなければイワナが全滅する…
そう思ったとき、自分の覚悟が決まった

村民の帰還準備が進む福島県川内村――震災後の原発事故によって村全体が警戒区域と緊急時避難準備区域に指定されたが、この川内村一番の観光スポット「いわなの郷」が、震災から二年経った今年六月に再オープンした。

「いわなの郷」は、川内村と民間の運営会社「あぶくま川内」が第三セクターとして一九九四年に開設された。自然豊かな森の中に、養魚池、釣り堀、レストラン、コテージなどが整備され、年間三万人もの観光客で賑わっていた・・・・
「第三の道」を選んだ男達
「希望の牧場・ふくしま」

 東京電力福島原発から北西へ14キロ、福島県浪江町に『希望の牧場・ふくしま』がある。広さ32ヘクタール、雄大な景色の中でのんびりと草を食む牛たちの群れと牧歌的風景…時を忘れてしまいそうだ。

しかし、ここにいる360頭の牛は、福島原発の事故によって放射能に汚染され、経済価値ゼロの牛ばかり。政府の殺処分にも同意せず、餓死もさせず、人間の手によって生かす…第三の道を選んだ男たちの、汗と涙と苦悩の中で生き抜いた牛たちである・・・・・

情報メディアの現場から   NHK福島放送局記者
「問われる地元記者の力量」
長期化する避難生活…揺れ動く心境をどう伝えるか

「もうテレビカメラの取材は結構ですよ。取材受けたって何も変わらないんだもの」
仮設住宅など現場での取材で、避難生活を続ける住民の方々にインタビューをお願いした際、こうした言葉を返されることが数か月前くらいから、かなり増えていると感じています。去年まで何度か取材に応じてくださった方からも、「もう勘弁して」と断られたこともありました。今まではメディアの力に少しは期待していた方々が、停滞し、苦しいままの現実を前にして、メディアへの失望や不信感を強くしている・・・・・


2013.12.20

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